医療従事者とはその名の通り、医療に携わる仕事に就く人を指します。医療従事者といえば、医師や看護師だけではありません。保健師や歯科医師、歯科衛生士や薬剤師、臨床検査技師など医療従事者は多岐に渡ります。さらに医療品メーカーや医薬品メーカーなども、広い意味で医療を支える従事者だといえるのではないでしょうか。今回は、そのような医療従事者にこれから求められるものを解説していきましょう。

医療従事者の持つべき「生命倫理の四原則」とは？

医療行為上で倫理的な問題に医療従事者が直面した場合、どのように対処すべきかの指針となるのが「医療倫理の四原則」です。ジェイムズ・F・チルドレスとトム・L・ビーチャムによって「生命医学倫理の諸原則」において提唱されました。

自律の尊重

患者がたとえ病棟などでの管理下にあったとしても、患者自身の意思や決定は尊重し、行動を干渉したり制限したりしないことです。近年医療現場で導入されているインフォームド・コンセントは、まさに自立の尊重だと言えるでしょう。

無危害

患者に危害を与えないのはもちろん、今ある危険・危害を取り除くこと、予防することも含まれます。

善行

患者にとっての最善を患者のために行うという原則です。

公正

医療における医療資源を適切に配分するなど、患者の扱いを平等・公平にするよう努める原則です。

他にもある！医療従事者の持つべきものとは？

医療従事者に求められる「生命倫理の四原則」についてお話ししましたが、それ以外にもこれからの医療従事者に必要な資質があります。

豊かな人間性

確かな知識や医療従事者としての資質・能力はもちろん、倫理観や深い洞察力、豊かな感性や生命の尊厳への畏敬の念など、豊かな人間性も求められるでしょう。

多様な経験

現在医療従事の職に就くには、高等学校を卒業後にストレートで医療系の大学へ進み、卒業後すぐに医療従事者として働くコースが主流となっています。早い段階から同質社会の中に身を置きがちですが、社会経験を有する人材や多様な学習経験を持つ人材も医療に従事できれば、より豊かな人材の登用が可能でしょう。多様な人材と触れ合い切磋琢磨することで、脂質の高い医療従事者が育成されていくはずです。

地球人としての活躍

国際協力など、今まで以上に地球規模で活躍する機会の増えるのが医療従事者でしょう。

生涯学び続ける姿勢

医療・医学の世界は日進月歩であり、大学や卒業後の研修で学べる内容はほんの一部です。患者に十分な医療を提供し、医療人としての資質を向上させていくには、生涯学び続ける姿勢が重要でしょう。

医療従事者に必要な医療情報のアップデート

医療従事者は生涯にわたって医療・医学について学び続ける姿勢が、医療従事者の持つべき姿勢です。そのため医療従事者は、臨床での問題解決や論文の執筆、研究のために必要な文献を参考にしながら職務に当たっていることでしょう。ところが現実は、医療従事者は時間に追われており、患者対応になるべく時間を充てたいと思う人も多いのではないでしょうか。自分の欲しいと思う医療情報を得るには、かつては膨大にある医学書をひたすら読み漁るしかありませんでした。

ところが近年では、「PubMed」や「メディカルオンライン」をはじめとしたインターネットの論文検索サイトが登場し、飛躍的に論文を探しやすくなっているのはご存知でしょうか。

また、医療従事者はそれぞれの立場でチームとして協力し合って医療に当たっています。

製薬メーカーや医療機器メーカーなどに所属する医療情報担当者（MR）は、医療者から多種多様な問い合わせを受け、自社医薬品の効果や治療法などについて学術論文も読みこなしつつ情報提供を行っています。このように医療従事者が一つのチームとなって、信頼性の高い医療情報を共有し、より良い治療へとつなげていっているのです。

効率良くエビデンスの高い医療情報を得るには、医療の知識も兼ね備えた司書である医療系司書や、学術情報のリサーチサービスを提供する外部業者に依頼するのも効果的でしょう。このように医療従事者はさまざまな立場で協力し合い、医療情報をアップデートし続けていく必要があるのです。