看護研究では、文献検索や文献検討は避けて通れません。しかし、効果的に検索を行うには、文献検索を行う目的について理解する必要があります。目的もなく文献検索をしても、求める情報が曖昧になり、適切な文献を見つけられません。ここでは、看護研究で文献検索を行う目的や検索のコツについて詳しくご紹介します。

看護研究における文献検索の目的

看護研究において、文献検索を行う目的は次の3つが挙げられます。

同様のテーマで研究された文献がないか確認する

看護研究での文献検索の目的は、同様のテーマで研究された文献がないか確認することです。すでに研究が行われ、結果が出ていることを研究しても意味がありません。文献検索をせずに看護研究を進めてから同じ研究があることに気づいた場合、労力が無駄になってしまいます。そういった事態を事前に防ぐためにも文献検索をしておくことは大事です。

活用できる先行研究やデータを調べる

看護研究での文献検索の目的は、活用できる先行研究やデータを調べることです。文献検索をして同じテーマの研究を探し、明らかになっていることとなっていないことを確認できます。同様のテーマの研究で、条件や対象の異なる文献があれば、その結果を自分の研究に活用することも可能です。先行研究との違いを調べたり、解明されていない箇所を補足したりできるでしょう。

研究テーマの知識を深める

研究テーマの知識を深めるのも、看護研究における文献検索の目的です。研究を行う際には、先行研究について知識を深める必要があります。第一人者は誰か、起源はいつであるかなどを把握していないと、根拠のない薄っぺらな研究とみなされるでしょう。同様のテーマはもちろん、関連するテーマの研究にも目を通し、理解を深めることが大事です。

看護の文献検索のコツ

看護の文献は、普通に検索しただけでは見つけたい文献にたどり着けない場合があります。効率的に必要な文献を見つけるには、検索のコツを知る必要があります。看護の文献検索をする際には、次のポイントを留意しましょう。

検索アルゴリズムを理解する

Webサイトでは、検索アルゴリズムが適用されています。アルゴリズムとは、与えられたクエリに対して適切な情報を見つけ出すための手法や手順のことです。検索アルゴリズムは、ユーザーが入力した検索クエリと、索引付けされた情報のデータベースを比較し、最も適切な結果を提供するために使用されます。より精度の高い検索結果を得るためには、複数のキーワードを入れることが大切です。1つのキーワードでは検索範囲が広くなるものの、2つ、3つとあわせて入れることで、絞り込んだ検索が行えます。

シソーラスを活用する

シソーラスを活用するのも、文献検索において重要なポイントです。シソーラスは類義語のことで、活用することで検索アルゴリズムの精度を上げられます。シソーラスを使うと、類義語をまとめて検索できるため、求める情報が見つけやすいでしょう。たとえば、「バイタルサイン」に関する文献を検索する場合は、上位概念である「生命兆候」や「生命指標」などのシソーラスを、キーワードとして用いることが可能です。

引用文献リストを活用する

看護の文献検索のコツは、引用文献リストを活用することです。参考になる文献を見つけた際に、引用文献を確認すると、研究を進めるうえで活用された文献がリストアップされています。それらの文献リストを参考にすることで、先行研究の文献や情報を入手するのに役立つでしょう。

文献検索のデータベースを利用する

データベースを利用するのも、看護研究の文献検索を効率的に行うコツです。看護研究の文献が検索可能なデータベースは、PubMedなどをはじめ複数あります。医療機関や大学は、医師や看護師、学生など医療従事者が使用できるように、データベースと契約している場合がほとんどです。それぞれの機関にある図書館のパソコンから、無料で利用できます。PubMedは、アメリカ国立図書館が運営している文献検索サイトで、海外の文献を検索し、データをダウンロードすることも可能です。