コラム
2024年04月25日

医学論文はなぜ英語が多いのか?英語の医学論文を読むコツについて解説

医療関係者にとって医学論文は、臨床現場においても研究現場でも、切っても切り離せない存在です。世界中で多くの医学論文が発表されているのはもちろん、日本でも日々さまざまな医学論文が発表されています。しかし、日本語ではなく英語で書かれているものも多いのはなぜでしょう。

今回は英語論文が多い理由について解説していきます。また、英語の医学論文を読むのに苦手意識のある人に向けて、英語の医学論文を読むコツについてもお話ししていきます。

医学論文はなぜ英語のものが多いのか?

なぜ、日本国内の医学論文であっても英語で書かれているものが多いのでしょうか。日本語でなく英語の論文が多く発表される理由について3点紹介します。

インパクトファクターが大きいから

インパクトファクターとは、各研究の影響の大きさを測る指標です。医学論文を日本語で書いて発表し、英語版を別の雑誌にも投稿する行為は、二重投稿として厳しく禁止されているため、医学論文を発表するのに日本語か英語かを選ぶ必要があるというわけです。同じ内容の論文でも、日本語で発表するのと英語で発表するのでは、「インパクトファクター」が大きく異なります。そのため、世界へ届けられる英語を使って医学論文がかかれるのです。

スキルアップとキャリアアップのため

研究者にとってグローバルな情報発信力は今後も不可欠であり、自身のスキルアップのために英語論文に挑戦する人も多いでしょう。また、英語論文を海外の雑誌に掲載すれば、国内にとどまることなく世界を相手に研究者の仲間入りができます。大きな反響を得られれば優秀な研究者だと広く認知され、キャリアアップのチャンスにもなり得るのです。そういった理由から、日本国内でも英語の医学論文が発表されることが多いのです。

研究室発展のため・医学発展のため

英語で医学論文を発表し世界的に認知されれば、個人のみならず研究を進めた研究室も大いに評価されるはずです。研究室の発展にもつながることでしょう。また、内容的によい医学論文を広く世界に発表することは、大きく医学・医療の発展に貢献することにもつながります。全世界の医学界に貢献するために、国内の研究者たちは英語で論文を発表しています。

英語の医学論文を読むコツについて解説

ここからは、効率よく英語の医学論文を読むコツについて紹介します。闇雲に初めから全文読むよりも、ポイントを押さえて読んだ方が効率よく理解できます。医学論文の形式は、ある程度の形式が決まっているため、それを理解することで英語論文が読みやすくなるでしょう。ここでは、医学論文の形式をもとに内容を理解するコツをご紹介します。

「Title(タイトル)」

投稿規定の自由な雑誌には、読者の興味を引くよう奇抜なタイトルが付けられることもあるものの、タイトルの形式はおよそ決まっています。「〇〇患者における△△と××の関連」や「〇〇患者の△△に対する××の効果」といった形式が多いので、形式を覚えてしまえばタイトルだけでどのような内容の医学論文なのか推測できるでしょう。

「Abstract(抄録)」

300単語から400単語程度で研究内容や結果について端的に説明されているのが抄録です。抄録を読むだけでも論文の全体像を把握できるため、最初に確認することをおすすめします。

「Background・Introduction(背景)」

これまでわかっていることとわかっていないこと、そしてなぜこの研究が重要なのかといった研究の背景が端的に説明された部分です。研究分野について詳しくない人でも、概要や大まかな研究の流れが理解できる部分となっています。

「Methods(研究方法)」

たとえば特定の治療を受けた群と受けなかった比較対照群に分けて比較するなど、客観的な結果を導くための方法について書かれている部分です。論文を書く側にとって最も力を入れる部分であり、ボリュームも多いので、英語の苦手な人が読むのにはハードルの高い部分かもしれません。

「Result(研究結果)」

仮説をもとに研究を進めた結果をまとめた論文の最も重要な部分の一つです。研究目的を達成するために実施した実験や調査の結果、統計分析の結果を表や図を用いて分かりやすく提示されています。

「Table(表)」「Figure(図)」

図表を見るだけでも、ある程度研究内容や結果を把握できるのが、医学論文の長所でしょう。図表には下に「Legend(凡例)」という説明が書かれています。

「Discussion(考察)」

研究結果についての詳細が書かれている部分であり、著者のもっとも主張したいところのため、自分の知りたい分野の研究の場合はしっかり読み込むことをおすすめします。

「Conclusion(結論)」

結論部分の形式は、2文ほどで構成されています。1文目は「〇〇患者における△△と××には関連性があった」「〇〇患者の△△に対し××の効果を認めた」など、研究結果を端的に記載します。2文目には、研究結果が臨床でどのように使えるか「〇〇に役立つ可能性がある」などと捕捉します。

まとめ

医学論文は英語で書くことによって世界中に発信できることから、多くのものが英語で書かれています。医学論文を探す際には、英語の医学論文もぜひ対象にしましょう。英語に苦手意識のある人も、効率よく英語の医学論文を読むコツについて実践してみるのがおすすめです。

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