医療関連の仕事に従事していると、英語の医学論文を読む機会もあるでしょう。しかし、論文では日常生活では使わない単語も多く使われているため、読み進めるのが大変です。また、医学論文は構成も独特であるため、読み方のコツを知っておく必要があります。ここでは、英語の医学論文の構成や読み方のコツについてご紹介します。

英語の医学論文の構成

英語の医学論文を効率的に読むには、構成を知ることは大切です。英語の医学論文は、一般的に次のセクションから構成されています。

Introduction

「Introduction」とは、論文における導入部分です。研究分野の最近の状況や問題点を紹介し、従来の技術や解析手法に触れながら、その限界や課題を明らかにします。また、先行研究での取り組みや課題解決の試みについても言及します。その後、論文で取り扱う課題や新しい技術について詳しく説明し、筆者の仮説を述べることが一般的です。Introductionは文献を引用しながら研究の背景や必要性を紹介し、読者に論文の位置付けやアプローチを示す役割も果たします。

Materials and methods

「Materials and methods」は、実際に行った実験や調査方法が書かれています。実験や調査では、結果に目が行きやすいものの、その結果がどのように導き出されたかも重要です。細かい記述が多く、読み進めるのも大変ですが、しっかり読み込む必要があります。また、このセクションは、論文で主張されている結果が正しく導き出されたか、確認できるセクションでもあります。

Results and discussion

「Results and discussion」は、結果や考察が書かれているセクションです。「Results」セクションは実験の結果を数値に基づいて示し、特筆すべき点や全体の流れが解説される部分です。図や表を中心に示されるため、全体を通して理解しやすい部分になります。「Discussion」セクションでは、「Results」で示されたデータの分析と解釈が行われ、筆者の考察が述べられます。研究結果から得られる洞察や今後の展望が示される重要な部分です。また、研究で行えなかったことや改善点も議論され、研究計画を立てる際の参考になります。

Conclusion

「Conclusion」は、論文で述べられた内容を簡潔にまとめたセクションであり、「Summary」という見出しも使われます。このセクションでは、本文で提示された事実を再度強調し、全文の内容を要約しています。一方、「Discussion」では解析結果の議論が行われ、専門知識のない人や初学者には理解が難しいこともあるでしょう。しかし、「Discussion」だけで論文が終わると、著者の主張や論点が伝わりづらくなります。その場合、「Conclusion」で把握できるでしょう。

英語の医学論文を読むコツ

英語の論文を読む際、すべてを一度に理解する必要はありません。馴染みのない分野の場合、初読みで内容を理解するのは困難です。まずは大枠を把握し、再読して詳細を理解していきましょう。

Abstractで大枠を掴む

英語の医学論文では、Abstractで大枠を把握するのがコツです。通常、本文の前、もしくは最後のページに設けられています。論文の要点がまとめられているため、方向性などを理解できます。そのため、本文を読み進めやすくなるはずです。

Conclusionで主張を知る

「Abstract」で論文の要点を把握したら、「Conclusion」で何を主張しているのかを理解します。明らかされたことや、今後の展望や期待される効果などを、「Abstract」と照らし合わせながら読み進めていきましょう。「Conclusion」で、結果や考察の理解度が深まります。

図表を見る

医学論文を読みなれていないと、図表を読むのが難しいと感じることもあるでしょう。しかし、グラフであれば、縦軸と横軸の示すものが何であるか知ることで、読み解くことが可能です。また、どのような単位が記されているか確認することで、図表が示すものを予測しやすくなります。本文を読むと何の図表であるか理解できるため、大まかな意味を理解しておくだけでOKです。

詳しく読む

「Abstract」などを読み、自分が行う研究や知りたい情報と関連がないとわかったら、それ以上読み進める必要はありません。英語の医学論文は、日本語の論文を読むよりも時間や労力が必要となるからです。自分が行う研究や、知りたい情報に関連していると判断した場合は、詳しく読み進めていきます。

わからない単語は後回し

英語の医学論文を読むと、必ず意味のわからない単語が出てきます。その場合、意味を調べるのは後回しにして、とりあえず読み進めていくのがベターです。わからない単語が出てくるたびに調べていると、読み進める気力が失せてしまいます。また、わからないまま読み進めることで、内容を推測できるようになるでしょう。推測できるようになると、論文を読む速度が上がります。
また、翻訳ソフトや拡張機能を使うと便利なことがあります。