信頼できる医学論文とは？信頼性のある医学論文の探し方を解説

医学論文は、医療関係者にとって必要不可欠なものではないでしょうか。今回は、そのような医学論文にスポットを当てていきます。膨大な数が発表されている医学情報も、すべてが信頼できるものだとはいえません。それでは、信頼できる医学論文とはどのような論文なのでしょう。また、信頼性のある医学論文の探し方についても解説していきましょう。

信頼性のある医学論文とは？

医学論文を書くのも読むのも、医療関係者にとって大変意義のあるものです。医学論文を読む際にはもちろん、書く際にも他の論文を参考にする場面が多々あるため、いかに信頼性のある論文を入手できるかどうかがキーポイントになってくるのです。そこでここでは、信頼性のある医学論文の見つけ方について解説していきましょう。

医療情報の中には、「昔からこの治療法が良いといわれている」「テレビで〇〇には△△を食べると良いと特集していた」など、信頼性の怪しいものも多々あります。そのような玉石混淆の医療情報について、正しさを判断する指標が「エビデンス」です。エビデンスレベルは、一般的に下記のように広く認識されていますが、必ずしもこの限りではありません。

レベル1（エビデンスレベルが高い）：システマディック・レビューやRCT（ランダム化比較試験）のメタアナリシス
レベル2：1つ以上のRCT
レベル3：非ランダム化比較検査
レベル4a：分析疫学的研究（コホート研究）
レベル4b：分析疫学的研究（横断研究・症例対照研究）
レベル5：記述研究（ケース・シルーズや症例報告）
レベル6（エビデンスレベルが低い）：専門家個人や専門委員会の意見（患者データに基づかない）

つまり、どのような医学分野の権威であっても、個人の意見である場合は最もエビデンスレベルの低い医療情報という扱いになるのです。エビデンスレベルの高い一次情報にまずは当たっていくのがベストだといえるでしょう。

信頼性のある医学論文の見つけ方とは？

信頼できる医学論文とは、エビデンスレベルの高いものがめやすになるとわかりました。ここからは、信頼性のある医学論文を具体的にどのように見つければいいのか、見つけ方について紹介していきましょう。

論文検索

論文検索のデータベースといえば、世界中の論文検索なら「PubMed」、日本国内なら「医中誌Web」が有名でしょう。エビデンスレベルの高い一次情報がここで入手できるものの、検索にはコツが必要であり、英語の医学論文を読むには慣れや時間が大いに必要となるでしょう。

診療ガイドライン

論文検索で信頼性のある医学論文の一次情報は手に入れるのは難しいため、各分野の専門医たちによって多数の論文から重要なものを二次情報としてまとめたのが、「診療ガイドライン」です。日本国内、もしくは国際的に標準な治療方針がまとめられています。多くの疾患において学会が診療ガイドラインを一般公開しているので、疾病名・症状名での検索よりもはるかに信頼性の高い情報が得られるでしょう。

研究機関や大学病院のサイト

国立感染症研究所や国立循環器病研究センターといった研究機関や大学病院のサイトも有効です。厚生労働省や各自治体の保健所で公開している情報もおすすめでしょう。また、検索する時に「go.jp」「ac.jp」のドメインで絞り込めば、政府機関や教育機関など、信頼できるサイト以外は非表示にできるため有効活用していきましょう。

一般向けの書籍やサイト

ある疾病や症状についてネット検索した際に検索結果として表示されるサイトの中には、個人で運営している、個人の見解を述べたサイトもあるでしょう。そのようなサイトは、やはり信頼性が高いとはいえません。製薬会社などの企業が運営するサイトは、検索した際に膨大に得られる情報の中では信頼性が高いといえるでしょう。ただし自社製品の宣伝も兼ねているなど、なんらかのバイアスの掛かっている可能性は否定できません。

書籍として発行されている医学書なら信頼性は高そうです。ただし一般に向けての書籍は、不況で本の売れない状況もあってか、信ぴょう性に欠け、インパクトを重視した医療情報の本も増えている状態です。医療関係者向けに発行されているものから選びましょう。